先日の19日(金)に、嫁さんと一緒に新宿ピカデリーで、映画「ハナレイ・ベイ」を観に行きました。
嫁さんの誕生日記念として、映画を観てからその後食事をしようという予定でした。
「ハナレイ・ベイ」は、村上春樹氏の同名の短編小説を映画化した作品で、その日から公開スタートでした。
映画を観るに当たりまして、先に原作本を嫁さんから借りて読みました。
内容は、一人息子を失った母親の苦悩と悲しみを通じて、自然と対峙する姿を描いた奥深い題材でした。
ネタバレになりますので詳しくは書きませんけれども、僕個人の感想をここに述べさせていただきます。
これは何度か観れば思いも変わってくる奥の深い映画だと思います。
僕の初回を観たのみの感想です。
主演の吉田羊さんの全身から湧き出る感情表現の演技が、凄まじい勢いで観る者に迫って来ました。
最初は原作本から来る自分の思い描いていたイメージとは違うと思いましたが、観て行くうちに段々と引き込まれていき、最後は完全に一体化しました。
息子を失った母親サチを取り巻くドラマの進行と同時に、決して幸せとはいえない彼女の半生が描かれて、観る者に重く圧し掛かります。
人間の交流で大切なものは何なのかを、考えさせられました。
母子家庭で自由奔放に育った一人息子とは、決して上手くいっていなかった親子関係でした。
失ってから気付いた大切なもの、サチの場合は息子との気持ちの交流だったのではなかったのでしょうか。
息子の面影を捜し求めてハナレイ・ベイをさ迷い、自然と対峙しようと苦悩するサチの姿が、この映画の最大の焦点だと感じました。
息子の死から長い年月が経っても尚、それに充分に受け入れ切れない苦しみが表現されていました。
息子に遭いたい気持ちから涙を流して狂乱する自身の姿に、本当に息子を愛していたのだとサチ自身が知ったのでした。
それは人間が誰でも持っている気持ちの弱さ、それが故に人間そのものだという表れなのでしょう。
息子を還元していった自然を受け入れる事で、物語は収束したのだと感じました。
サチのこれからの幸せを願わずにはいられませんでした。
カウアイ島は今年の夏に行きましたので、自分にとりましては大変興味深い舞台でした。
しかし北部はフェリーに乗らなければならないので、行けませんでした。
ハナレイ・ベイはそこにあるそうです。
ハワイでの生活や軽い気持ちで訪れた若い旅行者の様子等がリアルに描かれていて、面白かったです。
ハワイはどこでも日本語が通用すると思っていたとか、一年中常夏の島だと思っていたとか、僕も誤解していた印象でした。
これは個人的な感想ですけれども、息子の足を食い千切ったサメの姿が描かれていなかった事は、若干物足りませんでした。
確かに人間ドラマですので、作り物やCGの表現は不要でしょうけれども、せめて吊り上げられた巨大なサメを見せるとかいう演出はして欲しかったです。
そこで物語に余裕が生まれると思うのですが。
僕もカウアイ島では浜辺で釣られたシュモクザメを見ましたが、物語で息子を襲ったのは、より巨大なタイガーシャーク(日本ではイタチザメと呼ばれています)ではないかと思います。
サーフィンボードが大きく食い千切られた場面は映画でもありましたが、そこが唯一のサメ表現でした。
実際、サメに襲われて噛み砕かれたボードの破損具合は物凄いそうです。
最後に映画を観る前に描いた僕のイメージ絵です。
日記の端に描きました、原作本からの印象です。