久々に怪獣模型を取り上げます。
緑商会の宇宙大怪獣ギララです。
大きいのが電動リモコン版、小さいのがゼンマイ版です。




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世間が怪獣ブームに湧いた1967(昭和42)年に公開されました、松竹製作の特撮怪獣映画が「宇宙大怪獣ギララ」です。

当時は東宝のゴジラに大映のガメラ、テレビではウルトラマン、マグマ大使と、空前の怪獣ブームでした。
それに乗り遅れてはと、日活が「大巨獣ガッパ」を、そして松竹が「宇宙大怪獣ギララ」を製作上映しました。

宇宙から胞子状態で地球に飛来して来た謎の物質が、突然変異を起こして誕生したのが宇宙怪獣ギララです。
その容貌はカメレオンともカマキリともつかない異様な姿で、地球上のあらゆる科学兵器が通用しません。
しかし最後は胞子に戻されて宇宙に追放されます。
SF仕立ての活劇映画で、宇宙艇アストロ・ボートも活躍します。

映画公開に伴い、少年雑誌では特集記事が組まれ、ソノシートやプラモデル、ソフビ玩具の販売と、かなり賑やかな宣伝展開が成されました。
しかし思った様な人気は得られなかった様で、ガッパもギララもシリーズ化される事なく銀幕から消え去りました。

ギララは松竹唯一の怪獣映画でしたが、後に別設定映画で「ギララの逆襲」(2008年)が作られ、更に松竹自体は東映との合作で「大怪獣のあとしまつ」(2022年)を共同制作しました。



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緑商会の電動歩行模型のギララです。
1967年製で、リモコンスイッチで口を光らせ声を上げて前進します。

貴重な怪獣模型ですが、同時期のマルサン商店や日東科学の電動怪獣と比べると、かなり小振りで独特の作りです。
全体の出来はよく、身体のイボ表現が細かくてリアルです。
歩行用の足の軸が1本だけなので、強度が心配です。

発声ギミックが内部の動力部分にあり、モーターに付属している金属ギアに円形ノコギリの様な部品が直結して、別部分にある金属板がカムに押し上げられて移動し、回転ノコギリに接触して音を立てる仕組みになっています。
何だか解り難い説明ですが文面からご想像ください。




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同時期販売されていましたゼンマイタイプの模型です。
1980年頃に童友社から同じ金型使用で、オリジナル怪獣ザ・ウルトラクィーンとして販売されました。
後に童友社は正式にギララとして、このゼンマイ版を復刻販売しました。

向かって右側がウルトラクィーンで、左側が復刻ギララです。
生き別れになった兄弟(クィーンは怪獣女王なので、この場合姉弟か?)の再開場面みたいな感じです。



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ギララ内部構造

この電動ギララですが、ジャンク品を修理しまして完成させました。
モーター(F140RE)を取り替えまして、足の軸1本と連動クランク部品を自作して歩行可能にしました。
頭部のアンテナも模型のランナーを使用して自作しました。

尾の内部にかなりの量の鉛を入れました。
この重りが無いとギララが唯腰を振るだけで、中々前進しないのです。
模型製作には苦労が付き物です。



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ひとりギララ祭り

彩色は模型の成形色を活かして、補色としてシルバーがかったグリーンを噴き付けしました。
目玉と爪、アンテナの先等は筆塗りです。
ゼンマイ版も同時進行で彩色しましたので、殆ど同じ色合いです。

復活しましたギララですが、お陰さまで上手く歩いてくれています。
ギララファミリーの様子をご覧ください。



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友人?である日活怪獣ガッパとの記念撮影

かなり手前にギララを置いてありますが、ガッパとの大きさ違いが歴然です。
日東リモコンガッパは大きいです。



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東宝 大映 日活 松竹 4大怪獣勢揃い

全て電動歩行で麦球発光、昭和時代の遺産です。
どれも各々特徴があって面白いです。