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カテゴリ: 怪獣漫画の世界

知る人ぞ知る昭和の漫画 現代芸術社版ウルトラマンですが、今回は異色のファンタジーであります異次元怪獣ガバドンの巻です。




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「恐怖の宇宙線 ガバドンの巻」

作画は加来あきら氏です。
横山光輝氏に師事されておりました作家さんでして、画風もどことなく影響が見られます。

先に紹介しました「怪獣無法地帯」を担当されました井上英冲氏と同様、温かみのある絵柄です。



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壁に怪獣の落書きをする子供達。
ムシバ君は自分が考えた怪獣ガバドンを描きますが、あまりのユーモラスな姿から、友人達からはからかわれます。

壁に落書きとは、これは誉められた行為ではありませんけれども、昭和の時代にはよく見られた光景でした。
僕もよく地面に怪獣の絵を描いて、遊んでいました。
当時住んでいた公団住宅の壁に、クレヨンでニャロメを大きく描いて、親から怒られた事もありました。

元のドラマ版では建設現場の土管にガバドンは描かれるのですが、こちらでは人の家の壁です。
まぁ、やってはいけない事ですので、遊んだ後はちゃんと消しておきましょう。



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なんとムシバ君の絵のガバドンが実体化して、街で暴れています。
出動した科特隊の言葉を借りて言えば、「まるで怪獣のオバQ」です。

これは宇宙から地球に降り注ぐ特殊な宇宙線の影響で、二次元のものが三次元に実体化した怪奇現象でした。


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落書きの絵がよりパワーアップして描き込まれた、新生ガバドンが再出現!

街中で寝てばかりいるドラマ版とは違って、漫画版ではガバドンは大暴れです。




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ウルトラマン登場!
狂暴化した?ガバドンと戦います。
最後はなんと無情にも、空に放り投げて倒してしまいます。

これは少年マガジンの楳図かずお版もそうなのですが、なんとも子供の夢を打ち砕く展開になっています。
ドラマの様な、夜空の星になるメルヘン場面が見たかったです。



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そのかわりに、漫画版独特のラストの表現が楽しいです。

再び怪獣を実体化させ様と、壁に落書きを行う子供達。
しかし特殊な宇宙線は一時的なものでしたので、それが消え去った後では、二度と怪獣は出現しませんでした。

壁中怪獣の落書きだらけ!

おしまい




如何でしたでしょうか。
次回もまた、楽しい怪獣漫画の世界を紹介します。




前回に引き続き、現代芸術社版ウルトラマン漫画の紹介です。

ウルトラマンのエピソードの中でも、取り分け人気の高い「怪獣無法地帯」です。
漫画版の作画は、このシリーズでも数多くの作品を手掛けました井上英冲氏です。

井上英冲氏は、手塚治虫氏のお弟子さんだった作家でした。
昭和40年にテレビ放送されて人気を博しました「遊星少年パピイ」の漫画版を描かれました。

その関係からか、井上版ウルトラマンはどことなく手塚タッチの温かみを感じさせる絵柄です。




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漫画のストーリーはテレビドラマに準じています。
同じくウルトラマン漫画で有名な一峰大二氏の作品が、ほぼオリジナルな展開でありますので、これはドラマに忠実なコミカライズと言えるでしょう。

音信不通になった観測所員達を探しに、無人の島である多々良島に向かった科学特捜隊。
そこで彼らを待ち受けていたものは…



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多々良島で戦うレッドキングとチャンドラー。
凄まじい決戦が続きます。
島は怪獣達が暴れる、無法地帯と化していました。



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チャンドラーを撃退したレッドキング。
更に地底から現れたマグラを一喝!
マグラはビビって逃げ出します。



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科特隊は二手に別れて探索を開始します。
西のジャングル地帯で、吸血植物スフランに襲われるフジ隊員。
何だか、やけにエロいリアクションポーズですね(^^)



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一方、東の溶岩地帯からはマグラが出現!
ナパーム弾で倒します。



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善良な怪獣ピグモンに介護されて、救助を待っていた松井観測所員。
他の観測所員達は、皆 怪獣の犠牲になってしまいました。

松井観測所員のこの台詞が好きです。
自然の猛威の前に及ばない、人間の姿を感じさせます。

それにしても、ピグモンをもっと可愛く描いて欲しかったですね。



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合流した科特隊員達の前に出現したレッドキング!
人間を救う為に、猛然と向かっていくピグモン。
しかし、その甲斐もなく...




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ウルトラマン登場。
さしものレッドキングも、ウルトラマンの敵ではありませんでした。



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平和がよみがえった島に、犠牲となった観測所員達の慰霊が建てられた。
そして勇敢な小さな英雄の慰霊も…




大変面白く描かれた、ドラマの完全漫画版です。
テレビの名場面が浮かんで来ます。
最後のフジ隊員の言葉が、心に響きます。

尚このエピソードは、現在発売中の復刻版で読めます。

人気の怪獣無法地帯漫画版の紹介でした。




久々の怪獣漫画の話題です。

その昔、特撮番組の元祖「ウルトラマン」(1966~1967年)がテレビで本放送されていた当時の事です。
今は無き出版社 現代芸術社から、月刊形式でウルトラマンの漫画雑誌が発行されておりました。
毎号2作品づつウルトラマンのコミカライズ作品が掲載され、ほぼリアルタイムで漫画版も楽しめるという感じでした。
現代コミクス(コミックスではなく)と称されます。
紙製玩具等の組み立て付録も付いて、大変楽しい漫画雑誌でした。

僕も当時、アボラスとバニラ、ヒドラの回が載った号を買って貰った記憶がございます。
あれにはヒドラの紙製組み立て鉛筆立てが付録に付いていました。




現代芸術社 ウルトラ3冊揃い
僕が現在所有しておりますのは、今のところ以下の3冊のみです。
いずれも余り状態がよろしくなく、ページが部分的に欠損している上、付録も一部無くなっています。



現代芸術社 ウルトラマン4月号
1967年4月号「第十三話 怪獣無法地帯」「第十四話 ガバドン」



現代芸術社 ウルトラマン6月号
1967年6月号「第十九話 ジャミラ」「第二十話 スカイドン」



現代芸術社 ウルトラマン8月号
1967年8月号「第二十三話 ダダABC」「第二十四話 グビラ」



作品話数は、この漫画版のエピソードに準じています。
マニア間以外ではそれ程取り沙汰される事の少ないこれらの作品ですけれども、それでも昭和の遺産ともいうべき記憶に残る怪獣漫画です。
雑誌表紙絵は挿絵画家の巨匠 柳柊二氏です。
怪獣を相手に闘うウルトラマンの雄姿が恰好いいです。

漫画作画は、「怪獣無法地帯」「ジャミラ」「スカイドン」が井上英沖氏で、「ガバドン」「ダダABC」が加来あきら氏、「グビラ」が田中ちかお氏です。



現代芸術社 井上英沖版ウルトラマン
井上英沖版ウルトラマン



現代芸術社 加来あきら版ウルトラマン
加来あきら版ウルトラマン



現代芸術社 田中ちかお版ウルトラマン
田中ちかお版ウルトラマン



皆それぞれの個性が出ていて楽しいですね。




現代芸術社 組み立て付録
楽しい付録が付いているのも、この雑誌の特徴でした。
でも、殆どそれらは残っていない場合が多いのです。

こちらは雑誌に直接付属している折り込み形式だったおかげで、奇跡的に残っておりました6月号付録で、ウルトラマン対スカイドンの対決組み立て工作です。
これをカラーコピーして作ってみたくなりました。



現代芸術社 付録怪獣大パノラマ
これがなんと成田亨先生の描かれました特大サイズのイラストで、8月号付録の怪獣大パノラマです。
こちらも雑誌本体に付属しておりました折り込み式でしたので、奇跡の現存です。



現代芸術社 怪獣大パノラマ
全体像部分紹介ですが、怪獣達と戦うウルトラマンの雄姿が素晴らしい迫力で描かれています。

僕はこの付録イラストを全面コピーした物を、成田先生に差し上げた事がございました。
先生は大変お喜びでした。
それも今では懐かしい思い出です。



現代芸術社 すごろく
パノラマ画の裏面は、この様に双六になっています。




今ではこれらの品はすっかりコレクターアイテムと化し、古書店等で高額で扱われる存在となってしまいました。
最近これらの作品のうち、主だった作家の作品が復刻出版されて読める様になりました。
漫画版で多くのエピソードを描きました井上英沖氏の作品が、復刊ドットコムから上下2巻で発売されています。
これは誠に有り難い事です。
いずれは他の作家諸氏の作品も復刻して欲しいです。



現代芸術社ウルトラマン漫画紹介は、もう暫く続きます。




今迄にもゴジラの漫画版は数多く存在しました。

しかし、これは殆どの方々がご存知ないであろう驚異のゴジラ漫画で、ギャグ漫画界の巨匠 赤塚不二夫先生が描いた作品です。

題して、「週間スペシャル小僧 帰ってきたなつかしのヒーロー! トウホーさんちのゴジラくん!!」
(秋田書店刊 週刊少年チャンピオン 1984年 第32号掲載)



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「週間スペシャル小僧」は、1983~1984に秋田書店の週間少年チャンピオンで連載された作品です。
今現在の時点で、単行本にはなっておりませんので、ご存じない方も多いと思われます。

芸能レポーターの少年ナシトモくん( 梨元勝 氏がモデルです)を狂言回しに、毎回時事ネタを題材とした巻末オール2色刷り読み切り漫画です。
扱う題材は、政治から芸能界、社会問題までと、実に幅広い範囲に及びました。
それもかなり過激な話が多く、よく少年雑誌に掲載されたと驚く物もありました。


その中で、当時復活が話題となっていたゴジラを題材としました回がこちらです。
丁度84年版ゴジラの時期です。
版権問題が気になるところですが、それを忘れさせる驚きの内容です。



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総合病院にて、保険証を渡す巨大な手!
国民健康保険 年齢 5万59歳 所属 東宝 氏名 ゴジラ



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再び東宝の新作映画に出演する事となった我等がヒーロー ゴジラですが、寄る年波で身体全体にガタが来ていました。
ドッグに入ってオーバーホールしたいとの申し出です。



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内部検査をしたところ、身体中どこもかしこも病巣だらけ。
酷い胃潰瘍で、腹の中からとんでもない物が出てきました。

丁度、グリコ森永事件のあった頃です。



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東宝の大道具から、巨大な車椅子まで届きました。
主治医は円谷先生!



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今は亡き橋本幸治監督からの応援です。
「さよならジュピター」からの巻き返しを誓います。



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そして、大映からは大魔神までもがお見舞いに訪れました。

この当時、大魔神も復活が噂されていましたが、結局新作映画は作られませんでした。



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高層ビルに挟まれるゴジラ。
全国のファンの為にも、頑張れゴジラ!


といったお話でした。



これはもう、言葉を失うといおうか、よくぞ掲載出来たと思える衝撃内容です。
大御所である赤塚先生だから許されたのでしょうか?

この漫画、どこかで復刻は・・・無理でしょうねぇ。



赤塚不二夫先生といえば、代表作の「おそ松くん」で、登場人物のイヤミが行った「シェー!」のポーズが大流行し、映画のゴジラもそれを行った事がありました。
「怪獣大戦争」(1965年)です。

その赤塚先生が、まさか80年代にゴジラを漫画で描いていた事は衝撃でした。
もうちょっと格好いい話を描いてくれればとも思いましたが、その当時の(もしかしたら今現在も)ゴジラの現状を、実によく物語っていると思いました。

過去の栄光から復帰して、老体に鞭を打ちながら頑張るゴジラの姿に思わず涙です。
その後シリーズ化を果たしたとは言いましても、果たして新たな時代に応えるだけの作品が生まれたのでしょうか?
今でも考えさせられる問題で、赤塚先生はそれらを既に見抜いていたのかも知れません。

最新作の「シン・ゴジラ」や、キングコングと連動した海外版映画に、期待が持てるところではありますけれども。



時代が変われど永遠の存在であります、怪獣王ゴジラ。
全国のファンからの熱い声援を受けて、今日も頑張るゴジラくんでした。

ゲームフィギア制作に続きまして、依頼されておりましたもうひとつの作業を、何とか完了させまして昨日納品して参りました。

これで一段落・・・とはいかず、近く販売予定のソフビ彩色作業のラッシュです。
今月一杯は、怒涛の強行スケジュールが続きます。
頑張って乗り切ります。



それでも小休止、ここで最近発売されました興味深い物を紹介します。


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全国のゴジラファンの共通購買物、講談社刊「ゴジラ全映画DVDコレクション」です。
先日、23号目の「ゴジラ」(1984年版)が出ました。
昭和のゴジラ映画及び東宝怪獣映画が一通り網羅されまして、いよいよ平成シリーズに突入です。

正式には84年版は昭和最後のゴジラ映画なのですが、長い年月を経て復活したこの作品から、過去の設定を一新して、平成シリーズが展開して行きます。

1984年当時、20代半ばだった僕は、ゴジラの復活に大いに期待を寄せまして、東宝主催のゴジラクラブにも入会し、この映画のエキストラ出演もいたしました。
東京都心でゴジラとスーパーXが決戦する場面です。

8月も中旬、新宿の埋立地に集まりました総数2000人もの群集が、橋本幸治監督の指導の基、撮影が為されました。
ビル街に倒れたゴジラに歩み寄る場面、起き上がったゴジラから一斉に逃げる場面、超兵器に驚く場面、等々。
それらを、ここぞとばかりに僕も熱演して参りました。
その時は、新作ゴジラの姿や、新兵器等の情報はありませんでしたので、自分の想像で脳裏にイメージを描いていました。

実際に公開されました映画は、物語の内容にもゴジラの造形の出来にも不満で、とても新作映画を喜ぶ気持ちにはなれませんでした。
多くの制作者の方々のご苦労を思うと、それも申し訳なく感じてしまうのですけれども、これは正直な気持ちでした。


そんな自分の青春?の記憶でもあります84年版ゴジラですが、今回のコレクションシリーズでは、なんと昭和ゴジラ関連の傑作が復刻版としまして付録に付いています。
昭和32年おもしろブック(集英社刊)の別冊付録として世に出ました、漫画「さいごのゴジラ」です。
作者は橋本よしはる氏で、オリジナルのゴジラ物語です。

以前、このブログでも紹介しました。



DVDコレクションの平成シリーズはパスしようと思っているファンの方々を引き止める、実に心憎い付録選択です。




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復刻版表紙 



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向かって左がオリジナルで、右が今回の復刻版です。



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中頁の比較 向かって右がオリジナルで、左が復刻版です。


こうして見ますと、かなりいい感じの復刻版です。
オリジナルのザラ紙に対して良質の用紙を使い、複写ですのでやや線に潰れと擦れが見える他は、良好な状態で再現されています。
台詞も漫画の欄外の文字や広告頁等も、そのまま掲載されています。
当時の雰囲気を味わうには、充分な資料です。



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しかし、もし難を言わせていただけるのであれば、背表紙部分です。
向かって右がオリジナルで、左が復刻版です。

復刻版が中綴じですので、オリジナルにあった作品タイトル部分が省略されています。
これは致し方ない事なのですが、この背表紙部分も面白い味わいがあるだけに、当時品と比較してしまうと、残念な気持ちになってしまいます。



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オリジナル版に見られますゴジラとジェット機のイラスト。
このとぼけた感じが、何とも言えないその時代の楽しい雰囲気を感じさせます。


それでも、毎回これだけレベルの高い資料セットを提供してくださいます講談社さんに、感謝です。
次回も期待しております。


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